出典:Prime video
【孤独のススメ】
詳細
オランダ 2013年
監督:ディーデリク・エビンゲ
主演:トン・カス ルネ・ファント・ホフ
ストーリー
妻に先立たれ、一人静かに暮らす初老の男フレッド。信仰篤いオランダの田舎町で、毎週日曜日の礼拝以外は周囲との付き合いを避けて、ひっそりと生活をしていたある日、突然言葉も過去も持たない男テオが現れ、なぜかフレッドの家に居ついてしまう。やむなく始まった奇妙な共同生活だったが、そこに奇妙な友情が芽生え、次第にルールに縛られたフレッドの日常が鮮やかに色づいていくのだったが、保守的な田舎町に住む近隣は、彼らのことを問題視し、村から追い出そうとして・・・。
感想
物語は、主人公がそれぞれの人生の局面で「孤独」と向き合い、そこから何を見出し、どのように自己を確立していくのかを丹念に追っています。しかし、それは決して感傷的であったり、悲劇的であったりするものではありません。むしろ、一人でいる時間の中にこそ、真の自己と対話し、自身の内面を深く探求する機会が隠されていることを示唆しています。
特筆すべきは、オランダ映画らしい、抑制された美しさを湛えた映像表現です。派手な演出は一切なく、ミニマルでありながらも力強いショットの連続が、観る者の心に静かに訴えかけます。光と影の使い方が巧みで、主人公たちの心の機微や、彼らが孤独の中で見つける小さな発見、そして時に訪れる静かな葛藤が、視覚的に鮮やかに表現されています。それはまるで、北欧の広大な自然を思わせるような、深く、そして澄み切った印象を与えます。
この映画は、他者との繋がりや社会との協調性を否定するものではありません。むしろ、自分自身と健全に向き合う時間を確保することこそが、より質の高い人間関係を築くための土台になるという、重要なメッセージを投げかけているように感じます。

出典:Prime video
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