【アブダクション】SF・スリラー映画

アメリカ/カナダ 2017年
監督：クレイ・スタウブ
主演：アマンダ・シュル   マイロ・ヴィンティミリア   ショーン・アシュモア   ブリジット・リーガン

ＦＢＩ捜査官のフランシスは、ある失踪事件の捜査のため、この片田舎にやって来た。行方不明になったのは、マリアとジョナの母子。農場では残された父親のジャクソンが一人で暮らしている。調査をはじめたフランシスは、ジャクソンが狂気じみた行動で周囲に恐れられていることを知る。農場には訪問者を襲う様々なトラップが仕掛けられ、地下室に何者かを監禁しているらしい。フランシスは農場に突入し、ジャクソンを逮捕。問題の地下室に踏み込むが、囚われていたのは地球外の生物だった・・・。

『アブダクション』は、SFスリラーとして地味ながらも心に残る作品です。派手なアクションや壮大な宇宙戦争を期待すると肩透かしを食らうかもしれませんが、閉鎖的な空間で展開される物語が、独特の緊張感を生み出しています。
田舎の一軒家という限られた舞台で、エイリアンと人間、そして家族の間に何が起こるのか、静かに、しかし確実に観客を引き込んでいきます。特に、登場人物たちの心理描写や、何が真実なのかという疑問が、最後まで観る者を飽きさせません。
ジャケットのイメージと実際のエイリアンのスケール感が異なるという意見もありますが、それはこの映画が単なるモンスターパニックではないことを示しているのかもしれません。むしろ、常識が覆されるような意外な展開や、狂気と理性の間で揺れ動く登場人物たちの姿が、この作品の魅力と言えるでしょう。SFファンでなくとも、人間の心理や家族のあり方について考えさせられる、深みのある作品だと感じました。