
【エミリー・ローズ】クライム・ホラー映画
この映画の独特な点は、悪魔憑依という超常現象を、法廷劇という形で描いていることです。女子大生のエミリー・ローズに何が起こったのか、そしてそれは悪魔の仕業なのか、それとも別の原因があるのか。弁護士と検察官のそれぞれの視点を通して、事件の真相が徐々に明らかになっていきます。ジェニファー・カーペンター演じるエミリーの苦しみや葛藤は、観る者の心を強く揺さぶります。彼女の身に起こる不可解な出来事は、目を背けたくなるほど恐ろしいものですが、同時に、彼女が抱える痛みや絶望も痛いほど伝わってきます。「信じる」とはどういうことなのか。「科学」と「信仰」は対立するものなのか。この映画は、そうした根源的な問いを私たちに投げかけてきます。衝撃的な映像や音響効果もさることながら、人間の内面や社会のあり方まで深く掘り下げた、見応えのある作品だと感じました。