【ザ・ホエール】ドラマ映画

アメリカ 2022年
監督∶ダーレン・アロノフスキー
主演∶ブレンダン・フレイザー   セイディー・シンク   ホン・チャウ   タイ・シンプキンス   サマンサ・モートン

40代のチャーリーはボーイフレンドのアランを亡くして以来、過食と引きこもり生活を続けたせいで健康を損なってしまう。アランの妹で看護師のリズに助けてもらいながら、オンライン授業の講師として生計を立てているが、心不全の症状が悪化しても病院へ行くことを拒否し続けていた。自身の死期が近いことを悟った彼は、8年前にアランと暮らすために家庭を捨ててから疎遠になっていた娘エリーに会いに行くが、彼女は学校生活や家庭に多くの問題を抱えていた。

ブレンダン・フレイザーの演技は、まさに圧巻の一言でした。特殊メイクによる外見の変化だけでなく、チャーリーの抱える苦悩や孤独、そして優しさを繊細に表現していました。チャーリーの娘、エリーを演じたセイディー・シンクも、複雑な感情を抱える少女を見事に演じ、観る者の心を揺さぶります。映画の舞台は、ほぼチャーリーのアパートの一室のみ。この閉鎖された空間が、チャーリーの孤独と絶望を際立たせ、観る者に息苦しささえ感じさせます。
限られた登場人物たちとの会話劇を通して、それぞれの抱える過去や秘密が徐々に明らかになり、人間関係の複雑さが浮き彫りになります。
本作は、肥満、同性愛、宗教、家族など、様々なテーマを含んでいます。観る人によって、どのテーマに焦点を当てるか、どのように解釈するかは異なり、多様な感想が生まれるでしょう。