【アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場】戦争映画

イギリス 2015年
監督：ギャヴィン・フッド
主演：ヘレン・ミレン   アーロン・ポール   アラン・リックマン   バーカッド・アブディ   ジェレミー・ノーサム   イアン・グレン

英国軍のパウエル大佐は、テロリストたちが自爆テロを計画していることを知り、ドローンのミサイル攻撃によるテロリスト殺害作戦の決行を決める。だが、殺傷圏内に民間人の少女がいることが明らかになる。

物語は、ドローンを駆使した対テロ作戦を巡る、たった数時間の出来事を描いています。イギリス軍、アメリカ軍、そして政府高官たちが、地球の裏側から標的を監視し、攻撃の是非を巡って議論を重ねる様子が、息詰まるような緊張感をもって描かれます。主要な登場人物たちは、それぞれ異なる立場と責任を背負いながら、刻一刻と変化する状況の中で、正解のない選択を迫られます。
この映画の特筆すべき点は、従来の戦争映画のような「敵」と「味方」という単純な二元論では語れない、複雑な倫理的ジレンマを提示していることです。ドローンの登場により、兵士は戦場に身を置くことなく、安全な場所からミサイルを発射できるようになりました。しかし、その「安全性」は、同時に、かつてないほどの責任と、予期せぬ副次的な犠牲を生む可能性をはらんでいます。民間人の巻き添え、国際法の解釈、そして個人の良心と国家の命令の衝突。これらの問題が、一つの作戦を通じて凝縮され、観客に突きつけられます。