出典:Prime video
【エンド・オブ・ハルマゲドン】
チェコ 2022年
監督:ネーザン・フランコフスキー
主演:アリス・オア・ユーイング ジョー・ドイル ピーター・メンサー Joe Anderson ブライアン・キャスプ
遥か昔、堕天使ルシファーは神への反逆戦争に敗れ、彼にとどめを刺した大天使ミカエルによって、逆襲を誓う呪詛の言葉を吐きながら地獄へ送られる。そして 現代、イタリアで美術史を学んでいるローラはバイオテクノロジー企業を隠れ蓑にした邪悪なカルト教団に誘拐され、キリストの聖骸布から採取された遺伝子を変 性した悪魔の種を孕まされる。これこそが、ルシファーの地上降臨への奥の手であった。この陰謀を阻止するために、ミカエルは教団によって敢え無く命を落とし た若き司教の肉体を借りて地上に降り立つ。最終戦争(ハルマゲドン)を食い止めることはできるのか?
出典:Prime video
『エンド オブ ハルマゲドン』は、まさに”終末”という言葉がこれほどまでに重く、そして深く描かれた作品は他に類を見ないと感じました。冒頭から、私たちが知る世界がゆっくりと、しかし確実に変貌していく様は圧巻で、過度なCGに頼らず、人間の視点を通して描かれることで、その「変化」のリアルさは胸に迫るものがあります。
この映画の真骨頂は、ただ圧倒的なスペクタクルを描くだけではありません。極限状態に置かれた人間たちが、どのようにして困難に立ち向かい、何を信じ、何に絶望し、そして何に微かな希望を見出すのか。その心の機微が非常に丁寧に描かれており、観客は登場人物一人ひとりの葛藤に深く共感させられるでしょう。
派手なアクションシーンは控えめですが、その分、人間ドラマに重きが置かれています。しかし、クライマックスに向けての緊張感は、決してアクションに劣るものではなく、むしろ精神的な緊迫感で観る者を圧倒します。
全体として、観終わった後に重いテーマが残りますが、同時に、人間の持つ強さ、そして微かながらも存在する希望の光を感じさせる、非常に考えさせられる作品でした。

評価90点
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