
出典:Prime video
【ドライブ・トゥ・ヘル】
ブルガリア 2019年
監督:Martin Makariev
主演:ルイザ・グリゴロヴァ ヤナ・マリノヴァ バジル・エイデンベンズ ベン・クロス アレクサンダー・サノ
平凡に暮らしていたボリャナとミアの二人、だがボリャナが彼氏から3万レフ貸してほしいという相談から、彼女たちの日常の歯車が狂っていく。彼女は自身が家政婦として働いている家に忍び込み3万レフを強盗する。しかしその家の御曹司マーティンに見つかり、パニックに陥ったボリャナは彼を誘拐してしまう。そして、親友であるミアにすべてを打ち明け助けを求める。しかし、全国指名手配されてしまった彼女たちは、国中の警察と市民に狙われはじめる。社会の呪縛から解き放たれた2人は、心のおもむくままに、暴れまわる!
本作は、親友同士の逃走劇を描いたブルガリア製作のロードムービーであり、スリラー、そしてヒューマンドラマの要素を内包しています。一見すると、単純なアクション・スリラーのように思えますが、その根底には、人生の岐路に立つ女性たちの心理と、彼女たちが選択する生き様が描かれています。
彼女たちがなぜそんな行動を取ったのか、彼女たちの心理状態に共感しながらも、「なぜこんなことになったのだろう」という疑問と不安を抱えながら、その狂気の旅路を見守ることになります。この「なぜ」という問いかけが、物語全体にサスペンスと緊張感を与え続けています。
逃亡劇であると同時に、本作は本格的なロードムービーです。車で国中を逃げ回る中で、彼女たちは様々な人々と出会い、様々な光景を目にします。しかし、それは決して美しい旅ではありません。追われる恐怖、尽きることのない葛藤、そして互いへの不信感が、彼女たちの旅を暗く、そして予測不可能なものにしていきます。
特に見どころなのは、この過酷な状況下で、親友同士であるボリャナとミアの関係性が大きく揺れ動く様です。友情、信頼、そして裏切り。極限状態での人間の本性が剥き出しになる瞬間が、息をのむようなリアリティで描かれています。この作品の真のテーマは、もしかすると、逃亡劇のサスペンスよりも、この二人の女性の心理的な旅路、そして彼女たちが最終的に何を選択するのか、という点にあるのかもしれません。

出典:Prime video
コメント