【怒りの炎】クライム・サスペンス映画

オーストリア 2021年
監督：カタリナ・モリーナ
主演：ステファニー・ラインスペルガー   マヌエル・ルバイ   ジーモン・シュヴァルツ   アニカ・ウォナー   ニルス・アルツマン

連続放火事件が村を襲う。次の放火を阻止するため警察と連邦捜査官が動く。

オーストリア作品『怒りの炎』は、閉鎖的な小さな村で起こる連続放火事件を軸に、重厚な人間ドラマとサスペンスを描いた作品です。
物語は、田舎の村で頻発する放火事件の真相を追う捜査官の視点を通して進行します。この村特有の閉塞感や、住民たちが抱える複雑な感情、そして表面には見えない思惑が事件の背景に横たわっています。単なる犯罪捜査にとどまらず、人間関係の深部、特に小さなコミュニティ内での秘密や葛藤に焦点を当てている点が特徴的です。
サスペンスの要素はしっかりと感じられつつも、豪華なアクションや派手な演出よりも、静かに進行する調査と、徐々に明らかになる村人たちの内面に引き込まれます。主人公である捜査官の姿勢や、地元の警察との連携、そして事件の背後にある暗い影が、緊張感を途切れさせません。
全体として、派手さはないものの、緻密な脚本と、オーストリアの美しい自然を背景にした重みのある映像が印象的です。視聴後には、事件の真相だけでなく、人々の心に宿る「怒りの炎」とは何だったのかを考えさせられる、骨太なドラマと言えるでしょう。ヨーロッパの質の高いクライムサスペンスや、じっくりと人間ドラマを楽しみたい方におすすめの作品です。