出典:Prime video
【私の友人ダマー】
アメリカ 2017年
監督:マーク・メイヤーズ
主演:アン・ヘッシュ ヴィンセント・カーシーザー アレックス・ウルフ ロス・リンチ ダラス・ロバーツ
残酷な連続殺人鬼のジェフリー・ダーマー。彼は高校時代、家庭では両親が日常的に喧嘩を繰り返し、学校では変人扱いされ友達もいない孤独な日々を送っていた。
この映画の最大の特徴は、一般的なサスペンスやホラー映画とは一線を画している点です。殺人鬼の誕生を描く、というと、猟奇的なシーンや衝撃的な出来事を想像するかもしれませんが、この作品はそうした描写をほとんど含んでいません。代わりに、描かれるのは「普通の」高校生活です。友人との交流、家族との軋轢、学校での居場所探し。しかし、その「普通」の中に、少しずつ、しかし確実にジェフリー・ダーマーの歪んだ精神が芽生え、育っていく様子が克明に描かれています。
主人公のジェフを友人目線で見ていくことになります。彼の奇行に戸惑い、面白がり、時に心配する。彼の行動は、一見するとただの変わった高校生のものに見えます。しかし、私たちは彼が後にどうなるかを知っている。その知識が、映画のあらゆるシーンに不穏な空気をもたらします。彼の何気ない言動や行動の裏に潜む闇を、観客は知らず知らずのうちに探ってしまうのです。
また、俳優陣の演技も特筆すべき点です。特に、ジェフリー・ダーマーを演じたロス・リンチの演技は圧巻です。彼はアイドル出身とは思えないほど、内向的で不器用で、それでいてどこか冷たいジェフの複雑な内面を巧みに表現しています。彼の目は、時に無表情で、時に苦悩に満ちている。その視線だけで、彼の孤独や内なる葛藤を感じ取ることができます。
この映画は、「彼がなぜ殺人鬼になったのか」という問いを突きつけます。彼の家庭環境、学校での孤立、そして彼自身の生まれ持った資質。それらが複雑に絡み合い、最終的な悲劇へとつながっていく過程が描かれています。しかし、この映画は答えを提示しません。ただ、事実を淡々と見せ、観る者に考えさせるのです。

出典:Prime video
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