出典:Prime video
【バトルランナー】
アメリカ 1987年
監督:ポール・マイケル・グレイザー
主演:アーノルド・シュワルツェネッガー マリア・コンチータ・アロンゾ ヤフェット・コットー リチャード・ドーソン ジム・ブラウン ジェシー・ヴェンチュラ アーランド・ヴァン・リドス マーヴィン・J・マッキンタイア プロフェッサー・トオル・ タナカ バーナード・ガス・レスウィッシュ ミック・フリートウッド カレン・リー・ホプキンス スヴェン=オリ・トールセン エドワード・バンカー
国民が管理された近未来。ある警官は命令に背いたことで大量殺人犯の汚名を着せられる。逃亡を図るが、策略にはまり、あるテレビ番組に出演することになる。
『バトルランナー』(1987年)は、単なるSFアクション映画として片付けられない、異様なエネルギーを放つ作品です。未来のディストピア社会を舞台に、無実の罪を着せられた男が、国家が運営する人気の命がけのテレビ番組に強制参加させられるという設定からして、観客の倫理観を試します。
この映画の核にあるのは、「メディアと大衆の共犯関係」への鋭い批判です。主人公ベン・リチャーズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)の命懸けの逃走劇は、すべて高視聴率のためのショーとして扱われ、テレビを通して国民に熱狂的に消費されます。番組の司会者デモンや、観客たちの姿は、現代のリアリティ番組や情報消費のあり方を、公開から数十年経った今見ても不気味なほど正確に風刺しています。
一方で、テーマの重さとは裏腹に、映画のトーンは非常に快活で突き抜けています。リチャーズを追い詰める個性豊かな「ストーカーズ」たちの過剰なまでのキャラクター造形や、シュワルツェネッガーお得意のブラックユーモアを交えた「ワンライナー(決め台詞)」が、シリアスな展開を軽快なエンターテイメントへと昇華させています。
特に、ショーとしての仕掛けとリチャーズの反撃が交錯する中盤以降の展開は圧巻です。この映画は、倫理観や社会の構造といった重いテーマを、あえて派手な爆発や筋肉、そして毒のあるジョークで包み込み、「楽しむこと」と「考えること」の境界線を観客に問いかけます。

出典:Prime video





コメント