【フライト・リスク】スリラー映画

アメリカ 2025年
監督：メル・ギブソン
主演：マーク・ウォールバーグ   トファー・グレイス   ミシェル・ドッカリー   Savanah Joeckel   Monib Abhat

保安官補のハリスは、ある事件の重要参考人のウィンストンを、アラスカからニューヨークまで航空輸送する任務に就く。初顔合わせとなったベテランパイロットのダリルは、陽気な会話でハリスの緊張をほぐしていく。離陸した機体は、壮大なアラスカ山脈の上空1万フィートまで上昇。頼もしいダリルの腕前もあって、順風満帆なフライトになるかに思えた。一方、後部座席につながれたウィンストンは、足もとにパイロットライセンス証が落ちているのを見つける。そのライセンス証の顔写真は、いま飛行機を操縦しているダリルとは全くの別人のもので……。

この作品は、高度なパイロット技術と、フライト中に突如として発生する予期せぬ極限状況を軸に展開します。単なるアクション映画ではなく、コックピットという密室空間での心理戦、そして命運を握る登場人物たちの複雑な人間ドラマが深く描かれています。
主演の俳優陣が、極限のプレッシャー下での人間の葛藤やプロフェッショナルとしての誇りを、卓越した演技力で見事に表現しており、物語への没入感を高めています。特に、空中での撮影技術と臨場感あふれる音響デザインは圧巻で、観客はまるで自分自身がそのジェット機に乗り合わせているかのようなスリルを味わえます。
​物語は終盤まで誰を信じ、何が真実なのかが判然としない予測不能な要素に満ちており、鑑賞後の爽快感と同時に、深いテーマ性も感じられるでしょう。飛行機に乗る際の視点を変えてしまうかもしれない、強く印象に残る一作です。