【グランド・マスター】アクション・歴史映画

アクション映画
像画出典:Prime video
出典:映画.com

【グランド・マスター】

詳細

香港 2013年
監督:ウォン・カーウァイ
主演:トニー・レオン   チャン・ツィイー   チャン・チェン   マックス・チャン   ソン・ヘギョ

ストーリー

20世紀初頭の中国。北の八卦掌の宗師であるパオセンは引退を決意。南北統一の使命を託す後継者に南の詠春拳の宗師イップ・マンを選んだ彼は、一番弟子であったマーサンの恨みを買う。やがてパオセンの娘ルオメイも巻き込み、激しい戦いの火ぶたが切られる。

映画『グランド・マスター』予告編
感想

ウォン・カーウァイ監督が描く『グランドマスター』は、単なるカンフー映画の枠を超え、ある時代の精神、そしてそこに生きた人々の「時間」「運命」「継承」を深く詩的に描いた壮大な物語です。
まず、何よりも特筆すべきは、圧倒的な映像美です。ウォン・カーウァイ作品の特徴である色彩の豊かさと、雨や雪といった自然の情景を効果的に用いた映像表現は、まさに息をのむ美しさです。アクションシーンにおいては、その「美」が極限まで高められています。単に速さや強さを競うのではなく、流れるような手の動き、一瞬の表情、空間の使い方が、舞踏のように優雅でありながら、命のやり取りを感じさせる緊迫感を生み出しています。
特に印象的なのは、水滴や飛び散る火花といったディテールへのこだわりです。スローモーションを巧みに使い、武術の**「間」と「哲学」**を視覚化しています。彼らが闘っているのは、敵だけではなく、失われゆく時代や、己の定めた運命であるかのように感じられます。
この映画の背景にあるのは、清朝末期から中華民国、そして戦火を経験する激動の時代です。主人公である葉問(イップ・マン)は、この波乱の中で生きた実在の武術家であり、詠春拳の継承者です。
映画は、彼が辿った武術家としての道筋を軸にしながらも、「南北の武術統一」という大義、そしてそれを巡る多くの人々の「願い」と「諦念」を描き出します。特に、章子怡(チャン・ツィイー)が演じるヒロインとの関係性は、この映画の叙情的な核となっています。彼らの間に流れる感情は、言葉以上に強く、武術という共通の言語を通して交わされます。それは、結ばれることのない、しかし互いの人生に深く刻み込まれた「武侠(ぶきょう)の魂」の交流であり、観客の心に強く響きます。

4.0
出典:映画.com

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