【TITANE/チタン】スリラー映画

スリラー映画
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【TITANE/チタン】

詳細

フランス/ベルギー 2021年
監督:ジュリア・デュクルノー
主演:バンサン・ランドン   アガト・ルセル   ギャランス・マリリアー   ライ・サラメ   ナタリー・ボイヤー   ドミニク・フロ   ミリエム・アケディウ   Théo Hellermann

ストーリー

頭にチタンを埋め込まれた主人公がたどる数奇な運命を描き、2021年・第74回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた。幼少時に交通事故に遭い、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。それ以来、彼女は車に対して異常なほどの執着心を抱き、危険な衝動に駆られるようになってしまう。自身の犯した罪により行き場を失ったアレクシアは、消防士ヴィンセントと出会う。ヴィンセントは10年前に息子が行方不明となり、現在はひとり孤独に暮らしていた。2人は奇妙な共同生活を始めるが、アレクシアの体には重大な秘密があった。

映画『TITANE/チタン』予告編
感想

映画『TITANE/チタン』は、鑑賞後に「一体自分は何を観たんだ……?」という呆然とした感覚と、妙に温かい余韻が同居する、唯一無二の超弩級の問題作です。
本作の最大の魅力は、物語が進行するにつれて作品の「顔」が劇的に変わっていく点にあります。
序盤は、エッジの効いたスタイリッシュで冷徹なボディ・ホラーやシリアルキラーものの様相を呈しています。しかし、中盤から終盤にかけては、血生臭いバイオレンスを突き抜け、想像もしなかった「愛」や「魂の救済」をめぐる究極のヒューマンドラマへと変貌を遂げます。
タイトル通り、本作では「チタン(金属)」が重要なモチーフとなっています。
幼い頃の事故で頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれた主人公アレクシア。彼女と「車」という無機質な金属との間に生まれる倒錯した官能性は、デヴィッド・クローネンバーグ監督の『クラッシュ』を彷彿とさせつつも、さらに現代的で過激な表現へとアップデートされています。
冷たい金属の質感、​脈打つ生々しい肉体、​滲み出る黒いオイルと鮮血
これらが交錯する映像美は、生理的な嫌悪感を呼び起こすと同時に、どこか神々しさすら感じさせるから不思議です。
物語の核にあるのは、「誰にも理解されない孤独な魂が、どうやって他者と繋がるか」という普遍的なテーマです。
​主人公のアレクシアと、彼女が出会う孤独な消防士ヴァンサン。全く異なる背景を持ち、共に壊れかけた二人が、偽りや狂気を超えて心を通わせていく過程は、言葉による説明を排しているからこそ、痛烈に胸に響きます。
「どんな姿であれ、お前は俺の息子だ」ヴァンサンが放つこの全肯定の愛は、異形な物語の中で唯一の、そして強烈な光として機能しています。
本作を語る上で、キャストの熱演は外せません。
新人とは思えない圧倒的な存在感。ほとんど台詞がない中で、その眼差しと身体表現だけで観客を圧倒します。
『TITANE/チタン』は、決して「万人受けする心地よい映画」ではありません。ショッキングな描写も多く、観る人を選びます。
しかし、既存の倫理観やジェンダー、家族の枠組みを粉々に粉砕した先に見えてくる「純粋すぎる愛の形」は、他のどの映画でも味わえない衝撃を与えてくれるはずです。

4.0
出典:映画.com

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