【MaXXXine マキシーン】ホラー・スラッシャー映画

アメリカ/カナダ/ニュージーランド 2024年
監督：タイ・ウェスト
主演：ミア・ゴス   ケヴィン・ベーコン   ジャンカルロ・エスポジート   エリザベス・デビッキ   モーゼス・サムニー   リリー・コリンズ   ミシェル・モナハン   ホールジー   ウリ・ラトゥケフ   ネッド・ヴォーン   ソフィー・タッチャー

テキサスで起きた凄惨な殺人事件の現場から、マキシーンがただひとり生き残ってから6年が過ぎた。ポルノ女優として人気を獲得した彼女は、新作ホラー映画の主演の座をつかみハリウッドスターへの夢を実現させようとしていた。その頃ハリウッドでは連続殺人鬼ナイト・ストーカーの凶行が連日ニュースで報道されており、マキシーンの周囲でも次々と女優仲間が殺されていく。やがてマキシーンの前に、6年前の事件を知る何者かが近づき……。

『X エックス』と『Pearl パール』に続く三部作の最終章が『MaXXXine マキシーン』です。前作『X』で唯一生き残った主人公マキシーン・ミンクスが、ポルノ女優からハリウッドスターを目指す1985年のロサンゼルスを舞台に、新たな恐怖に直面する物語。この作品は、単なるホラー映画という枠を超え、当時のハリウッドの華やかさと闇、そして時代の空気を切り取った、非常にユニークな作品となっています。
主人公マキシーンを演じるミア・ゴスの演技は、もはや圧巻の一言です。『X』と『Pearl』で二つの異なるキャラクターを見事に演じ分け、その才能を証明してきた彼女が、本作では自信に満ち溢れ、しかしどこか孤独を抱えるマキシーンを繊細に演じています。彼女の存在感なくして、この作品は成立しなかったと言っても過言ではありません。彼女が抱く成功への渇望、そして過去のトラウマとの葛藤が、物語に深みを与えています。
ホラーというジャンルで見ると、本作はスラッシャー映画の王道を行くスタイルです。しかし、ただ血なまぐさいだけでなく、静かなサスペンスや心理的な恐怖を巧みに織り交ぜています。特に、時代を象徴する連続殺人鬼の存在が、ハリウッドのきらびやかな世界に忍び寄る不穏な影として描かれており、観客は常に緊張感を強いられます。この殺人鬼の正体や動機が、作品の大きな謎となって物語を牽引していくため、最後まで目が離せません。
また、本作の大きな魅力の一つは、ケビン・ベーコン、リリー・コリンズ、ジャンカルロ・エスポジートなど、豪華なキャスト陣です。それぞれの役者が、マキシーンを取り巻く個性豊かなキャラクターを魅力的に演じており、物語に厚みを持たせています。彼らの存在が、ハリウッドの裏側にある名声や欲望、そして裏切りといったテーマを浮き彫りにしています。