出典:Prime video
【パージ:エクスペリメント】
アメリカ 2018年
監督:ジェラルド・マクマリー
主演:イラン・ノエル レックス・スコット・デイビス ジョイヴァン・ウェイド クリステン・ソリス マリサ・トメイ ローレン・ヴェレス メロニー・ディアス モー・マクレー チャイナ・レイン
「パラノーマル・アクティビティ」の製作ジェイソン・ブラムと「トランスフォーマー」のマイケル・ベイの共同プロデュースによる人気ホラー「パージ」シリーズの第4作。1年に一晩、12時間だけ全ての犯罪が合法化される法律=「パージ法」。シリーズの核となるこの法律がなぜアメリカで施行されることとなったかが描かれる。経済が崩壊した21世紀のアメリカで政権を握っていた新政党NFFAは犯罪率を1%以下に抑えるため、1年に一晩だけ殺人を含むあらゆる犯罪が合法となる「パージ法」の採用を決める。反対デモが巻き起こる中、アメリカ全土での適用を前にニューヨークのスタテン島内のみで実験的にパージ法を施行することが決定する。島に残る島民には用意された賞金は5000ドル。島の住民たちが不安を抱える中、ついにパージ当日がやってくる。そんな中、ギャングのボスであるディミトリーは、愛する人を守るためにスタテン島に残ることを決意する。
『パージ:エクスペリメント』は、全犯罪合法化の夜「パージ」がいかにして始まり、アメリカ全土に導入されることになったのか、その誕生の瞬間を描いた前日譚です。
この映画の核となるのは、政府が治安維持策として打ち出したこの非道な制度を、実験として貧しいコミュニティで試みるという設定です。舞台となるのは、ニューヨークのスタテン島。政府は島民に高額な金銭的報酬を提示し、12時間の実験期間中に島に留まるよう促します。
この作品の最大の魅力は、これまでのシリーズが描いてきた「パージの夜」そのものではなく、その裏側にある社会的なメカニズムと非人道性を深く掘り下げている点にあります。人々が恐怖と報酬に駆られて徐々に狂気に染まっていく過程を、ドキュメンタリーを見ているかのようなリアルな緊張感を持って体験します。
物語は、島に住む若者や麻薬組織のリーダーなど、様々な立場の住民を追う群像劇の形式をとります。彼らは、制度の「実験」という名の下に、命を懸けた選択を迫られます。恐怖に屈するか、それとも人間性を保ち、集団として抵抗するのか。この倫理的な葛藤こそが、本作のスリラーとしての面白さを高めています。
派手なアクションよりも、制度が個人と社会に与える心理的な影響と、そこから生まれるサスペンスを重視しているため、シリーズのファンはもちろん、社会派スリラーが好きな方にも深く考えさせられる作品です。この制度が「アメリカを救う」という甘言の裏で、いかに特定の層を標的にしているかという、痛烈な社会批判が込められています。

出典:Prime video





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