【アザーズ】ホラー・スリラー・ミステリー映画

スリラー映画
像画出典:Prime video
出典:Prime video

【アザーズ】

詳細

アメリカ/スペイン/フランス 2001年
監督:アレハンドロ・アメナーバル
主演:ニコール・キッドマン   フィオヌラ・フラナガン   クリストファー・エクルストン   エレイン・キャシディ   エリック・サイクス   アラキーナ・マン   ジェームズ・ベントレー   ルネ・アシャーソン   アレクサンダー・ヴィンス   キース・アレン

ストーリー

夫の戦地からの帰還を待ちながら、2人の子供たちと広大な屋敷に暮らすグレースは、日光アレルギーの子供たちのために太陽光を遮り、閉ざされた生活を送っていた。そんなある日、彼女は3人の使用人を雇い入れるが、以来屋敷内で怪奇現象が起こり始め…。

映画『アザーズ』予告編
感想

映画『アザーズ』は、単なるホラーやミステリーといったジャンル分けでは収まりきらない、極上の心理サスペンスです。舞台は第二次世界大戦終結直後のイギリス領ジャージー島。深い霧に包まれた豪奢な屋敷に、光線過敏症の二人の子供を持つ主人公グレイス(ニコール・キッドマン)が住んでいます。
物語の最大の魅力は、その息詰まるような雰囲気と、緻密に練られた脚本にあります。屋敷には「ある厳格なルール」が課されており、グレイスは子供たちを日光から守るため、カーテンを閉め切った暗闇の中で生活しています。そこに新しくやってきた使用人たちが加わることで、日常に亀裂が生じ始めます。
まず特筆すべきは、ニコール・キッドマンの圧倒的な演技です。彼女が演じるグレイスは、威厳を持ちながらも、見えない恐怖と過酷な状況の中で精神的に追い詰められていく母親の姿を見事に表現しています。屋敷全体を覆う重苦しい空気、そしてグレイスのヒステリックなまでの厳しさが、観客にも緊張感となって伝わります。
そして、この映画は「屋敷」そのものが主要な登場人物のように機能しています。邸宅の薄暗いインテリア、常に立ち込める霧、そして扉を開けるたびに遵守される「鍵をかける」という行為の反復が、観客を徐々に不安の渦に引きずり込みます。「何か」がいることは示唆されながらも、その正体が明確にされないまま、不確実な恐怖が持続します。
​物語は非常にゆっくりと、しかし確実に進行し、観客をミスリードしていきます。何が現実で、何が幻想なのか、誰が信用できるのか、という問いが絶えず頭をよぎるでしょう。この映画は、派手なジャンプスケアに頼らず、静寂と視覚的なヒントだけで恐怖を構築しています。
特に、クライマックスに向けての伏線回収は見事の一言です。全てが繋がった時、初めてこの映画が本当に描きたかったテーマが明らかになり、観客は驚きとともに、深い納得感を覚えるはずです。鑑賞後、すぐにでももう一度見返したくなるような、「二度楽しめる」構成になっています。

4.3
出典:Prime video

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