【THE GUILTY/ギルティ】クライム・サスペンス映画

ミステリー・サスペンス映画
像画出典:Prime video
出典:Prime video

【THE GUILTY/ギルティ】

詳細

デンマーク 2018年
監督:グスタフ・モーラー
主演:ヤコブ・セーダーグレン   イェシカ・ディナウエ   ヨハン・オルセン   オマール・シャガウィー   ヤコブ・ローマン   ローラ・ブロ   モーテン・スアバレ   Morten Thunbo

ストーリー

電話からの声と音だけで誘拐事件を解決するという、シンプルながらも予測不可能な展開で注目され、第34回サンダンス映画祭で観客賞を受賞するなど話題を呼んだデンマーク製の異色サスペンス。過去のある事件をきっかけに警察官として一線を退いたアスガーは、いまは緊急通報指令室のオペレーターとして、交通事故の搬送を遠隔手配するなど、電話越しに小さな事件に応対する日々を送っている。そんなある日、アスガーは、今まさに誘拐されているという女性からの通報を受ける。車の発進音や女性の声、そして犯人の息づかいなど、電話から聞こえるかすかな音だけを頼りに、アスガーは事件に対処しなければならず……。

『THE GUILTY/ギルティ』予告編
感想

​『真実の行方』は、デンマーク映画界が世界に放った、極めて斬新で実験的なサスペンス映画であり、その後のハリウッドリメイク版(『THE GUILTY/ギルティ』)の元となった傑作です。その魅力は、低予算でありながら、観客の聴覚と想像力に訴えかけることで、一般的なスリラーを凌駕する極限の緊張感を生み出した点にあります。
この映画の舞台は、警察署内の緊急通報指令室に限定されます。主人公のアスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)は、事件を起こして現場から外され、電話対応に当たっています。彼のもとに、誘拐されたらしい女性、イベンからの通報が入ります。
主人公アスガーを演じるヤコブ・セーダーグレンの演技は、驚くほど生々しく、リアリティに満ちています。
彼は、電話の相手を誘導し、情報を引き出し、警察やヘリを動かす「プロの警察官」としての冷静さを保とうとします。しかし、事件が予測不能な方向へ進むにつれ、その仮面の下にある焦燥感、苛立ち、そして個人的な感情が剥き出しになっていきます。
アスガーは、現場への渇望と、自身が抱える内面の罪悪感を、通報者への対応に重ねてしまいます。彼は、画面上ではほとんど動かないにもかかわらず、その声のトーンの変化(冷静な指示、突き刺すような問い詰め、突然の共感)と、額に滲む汗、電話を握る手の力だけで、物語全体のダイナミズムを創出しているのです。
事件の解決に奔走する中で、アスガー自身の背景にある「個人的な事情」が、電話での対応に色濃く影響し始めます。この作品は、彼が抱える「罪」と、事件を通じて彼が得ようとする「贖罪」の物語でもあります。彼が事件を解決しようとする動機が、正義感からなのか、それとも自己救済のためなのか。この問いが、観客に深い考察を促します。
この映画は、シンプルな設定だからこそ、脚本の緻密さが際立っています。会話のわずかなズレや、アスガーの咄嗟の判断、通報者の沈黙。それらの積み重ねが、観客の心臓を鷲掴みにするような緊張を生み出します。

4.2
出典:Prime video

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