【ラ★バンバ】音楽・伝記映画

アメリカ 1987年
監督：ルイス・ヴァルデス
主演：ルー・ダイアモンド・フィリップス   イーサイ・モラレス   ロザンナ・デ・ソート   ダニエル・フォン・ゼルネック   エリザベス・ペーニャ   ジョー・パントリアーノ   サム・アンダーソン   ジェフリー・リヴァス   ダニエル・ヴァルデス

ロックンロール台頭期。南カリフォルニアで高校生活を送るリッチー・ヴァレンスは、仲間と共にバンドを結成。障害を乗り越え、恋も夢のデビューも手に入れるが、音楽に迷いを感じていた。ある夜、彼はメキシコの町で「ラ・バンバ」を耳にする。

映画『ラ・バンバ』は、1950年代に活躍し、わずか17歳で事故死した伝説のロックンローラー、リッチー・ヴァレンスの短くも輝かしい生涯を描いた伝記映画です。
この作品の最大の魅力は、やはり音楽です。劇中で流れる「ラ・バンバ」や「ドナ」といった名曲の数々は、聴く者の心を揺さぶります。特に主演のルー・ダイアモンド・フィリップスがリッチー役として見事に歌い上げ、そのパフォーマンスは圧巻です。
物語は、メキシコ系の貧しい農家の出身であるリッチーが、音楽の才能を開花させ、スターダムを駆け上がっていく過程を丹念に描きます。彼は、家族への深い愛情と、音楽にかける純粋な情熱を持っていました。特に、彼が成功を夢見る中で見せる、ひたむきで優しい人柄は、観客に深い共感を呼び起こします。
単なる成功物語としてだけでなく、この映画は家族の絆というテーマを深く掘り下げています。リッチーを献身的に支える母親や、彼の音楽活動に協力する兄ボブとの関係性は、ドラマの重要な柱です。特に、リッチーの成功を素直に喜べない兄ボブの葛藤や、夢と現実の狭間で揺れる家族の姿がリアルに描かれており、感動的でありながらも、時に胸を締め付けられるような人間ドラマが展開します。
全編を通して、貧困からの脱出、人種的な偏見との戦い、そして何よりも純粋な夢追い人の姿が、ノスタルジックな50年代の雰囲気の中で瑞々しく描かれています。誰もが知る彼の悲劇的な運命を知っていてもなお、彼の情熱と才能がほとばしる様子は、観る者に強い印象を残します。