【ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソ】コメディー・ホラー映画

コメディー映画
像画出典:Prime video
出典:映画.com

【ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソ】

詳細

カナダ 2023年
監督:アリアーヌ・ルイ・セーズ
主演:サラ・モンプチ   フェリックス・アントワーヌ・ベナール   スティーブ・ラプランテ   ソフィー・カデュー   ノエミ・オファレル

ストーリー

人間社会に溶け込みながら、密かに人間を狩る吸血鬼たち。そんな彼らの中で、サシャは感受性が豊かなあまり人間を殺すことができないという致命的な問題を抱えていた。生きるために必要な血の確保を両親に依存し続けてきたサシャだったが、両親はそんな彼女を血気盛んないとこのドゥニーズと共同生活させることに。サシャはドゥニーズから自分で獲物を狩るよう促されるが、どうしても殺すことができない。心が限界を迎えた時、自殺願望を持つ人間の青年ポールと出会う。人間社会でいじめを受け、どこにも居場所がないと感じている彼は、サシャに自分の命を捧げようと申し出るが……。

映画『ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソ』予告編
感想

その異様に長いタイトルが示す通りの、一風変わった魅力を放つ作品です。この映画は、単なるヴァンパイアものや青春映画の枠に収まらない、ダーク・ファンタジーとオフビートなコメディ、そして繊細なドラマが絶妙にブレンドされた独特の世界観を持っています。
物語の中心にいるのは、ヴァンパイアでありながら、「人を殺せない」という致命的な問題を抱える主人公サシャです。彼女の豊かすぎる感受性は、自らの生存を脅かすほどのコンプレックスとなっており、家族に血の供給を頼り続けるという、ある意味で「自立できない」状態にいます。彼女の抱える苦悩は、私たち人間が社会の中で抱える「規格外であることの生きづらさ」や「自分らしくあることと、社会に適応することの葛藤」と不思議なほどに共鳴します。
彼女が家族から血の供給を断たれ、自力で獲物を探すことを強いられる過程は、思春期における親からの巣立ちや自己確立のメタファーとしても読み取れます。しかし、彼女の「ヒューマニスト」な本質が、その道を阻むのです。
そんなサシャが出会うのが、自殺願望を持つ孤独な青年、ポールです。彼は生きることに絶望し、むしろ喜んで自分の命をサシャに差し出そうと申し出ます。この出会いは、映画のテーマを深く掘り下げるきっかけとなります。
この作品は、「命を奪うこと」と「命を捧げること」という極めて重いテーマを扱っていながらも、全体としてはポップでコミカル、そしてロマンチックなトーンで描かれています。それは、彼らの関係が、血を介した「取引」であると同時に、孤独な二人がお互いの存在意義を見出すという、純粋なボーイ・ミーツ・ガールの物語だからでしょう。
サシャとポールが時間を共にし、対話を重ねる中で、彼らはお互いにとって何が本当に必要なのか、そして「生きる」こと、あるいは「死ぬ」ことの意味を不器用に探っていきます。その過程は、観客にトラウマや人生の困難からの回復、そして他者との繋がりが持つ力について深く考えさせるものがあります。

4.3
出典:映画.com

コメント

タイトルとURLをコピーしました