【クレイヴン・ザ・ハンター】アクション映画

アメリカ 2024年
監督：J・C・チャンダー
主演：アーロン・テイラー＝ジョンソン   アリアナ・デボーズ   フレッド・ヘッキンジャー   アレッサンドロ・ニボラ   クリストファー・アボット   ラッセル・クロウ

幼い頃、裏社会を牛耳る冷酷な父親とともに狩猟に出かけた際、巨大なライオンに襲われたことをきっかけに「百獣の王」のパワーをその身に宿したクレイヴン。自身の父親がもたらしたこの世の悪を始末するという目的を抱いた彼は、金儲けのために動物を殺める人間たちを次々と狩っていく。一度狙った獲物はどこまでも追い続け、必ず自らの手で仕留めるクレイヴンだったが、そのなかでやがて、縁を切ったはずの父親との対峙を余儀なくされる。さらに、全身が硬い皮膚に覆われた巨大な怪物ライノの出現によって、戦いは次第にエスカレートしていく。

『クレイヴン・ザ・ハンター』は、ソニー・ピクチャーズによるスパイダーマン・ユニバース（SSU）の一作でありながら、R指定のアクションと主人公のダークなオリジンに焦点を当てた異色作です。
主演のアーロン・テイラー＝ジョンソンは、その肉体美と荒々しい演技で、サーゲイ・クラヴィノフが「クレイヴン・ザ・ハンター」へと変貌していく過程を説得力をもって演じています。彼の野生的で容赦ない戦闘スタイルは、他のアメコミヒーロー映画とは一線を画す、生々しいアクションとして見どころの一つです。
物語は、ロシアの大富豪である高圧的な父親と、主人公クレイヴンの間に横たわる確執を軸に進みます。なぜ彼が最高のハンターとなり、やがてスパイダーマンのヴィランとなる運命を辿るのか、その心理的な背景と過去の出来事が描かれます。ラッセル・クロウが演じる父親役の存在感も大きく、ドラマ部分に重厚感を与えています。
しかし、一部の批評では、ストーリー展開に粗があり、山場が少なく単調に感じられるという声もあります。また、クレイヴンのキャラクター造形が原作コミックのイメージと異なると感じるファンもいるようです。アクションの迫力やR指定ならではの描写は評価されつつも、脚本やキャラクターの深掘りといった点では、観客の期待値によって評価が分かれる可能性があります。