出典:Netflix
【端くれ賭博人のバラード】
ドイツ/イギリス 2025年
監督:エドワード・ベルガー
主演:コリン・ファレル ファラ・チェン ディニー・イップ アレックス・ジェニングス ティルダ・スウィントン
マカオでひっそりと暮らしながら高額ギャンブルに興じる男。自身の過去と借金に追い詰められていくなか、自分の境遇とどこか似たある人と出会う。この出会いは彼を救うのか、それとも….。
本作は、『西部戦線異状なし』や『教皇選挙』で知られるエドワード・ベルガー監督の最新作であり、主演にオスカー俳優のコリン・ファレルを迎えているという点で、公開前から大きな注目を集めていました。
監督の過去作に見られるような、人間存在の極限状態や、心理の機微を鋭く描く手腕が、本作でどのように「ギャンブル」というテーマと融合しているのか。そして、常に役柄に深みを与えるコリン・ファレルが、破滅に向かうギャンブラーという難役をどう演じ切っているのか。この二点の化学反応こそが、本作を観る上で最大の焦点となります。
物語の舞台は、華やかさと退廃が共存するカジノの街、マカオ。この映画は、単なるギャンブル映画という枠を超え、マカオの映像美が非常に大きな役割を果たしています。
豪華絢爛なホテル、ネオンが乱舞する夜の街並み、そしてその裏側に潜む人間の欲望と孤独。監督は、色彩豊かでケレン味あふれるカメラワークで、この「虚飾」に満ちた空間を視覚的に描き切っています。まるで主人公の心の焦燥を映し出すかのように、画面は常に強い主張を持ち、観客をこの迷宮のような街へと引きずり込みます。
この圧倒的な「画の力」は、ストーリーの展開がゆっくりに感じられる瞬間があっても、観客を飽きさせない説得力を持っています。
この映画の評価が真っ二つに分かれる中で、多くの人が絶賛しているのが、主演コリン・ファレルの鬼気迫る演技です。
彼が演じる主人公は、ギャンブル依存症という業に囚われ、すべてを失いかけている男。その表情は常に憔悴し、どこか脂ぎっていて、清潔感とは無縁。画面に映る彼の佇まいそのものが、人間が自己破壊へと向かう過程を雄弁に物語っています。

出典:Netflix





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