【トーゴー】ドラマ・伝記映画

ヒューマンドラマ映画
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【トーゴー】

詳細

アメリカ 2019年
監督:エリクソン・コア
主演:ウィレム・デフォー   ジュリアンヌ・ニコルソン   クリストファー・ハイアーダール   マイケル・ガストン   マイケル・マケルハットン   ジェイミー・マクシェーン   マイケル・グレイアイズ   トルビョルン・ハール  ショーン・ベンソン   ニコライ・ニコラエフ

ストーリー

1925年の冬、アラスカのとある町で伝染病が流行する。人々の命を助けるため、ベテラン犬ぞり師のレナード・セッパラは、シベリアンハスキーのトーゴーと一緒に、遠く離れた街にある血清を運ぼうと奮闘する。

映画『トーゴー』予告編
感想

映画『トーゴー』は、単なる「動物との友情物語」という枠を大きく超えた、人間の誇りと、犬の知性、そして互いを信じ抜く魂の重なり合いを描いた傑作です。
1925年、アラスカの小さな町ノームを救うために決行された「血清走行(セラム・ラン)」という実話をベースに、これまで歴史の表舞台で大きく語られることの少なかった「真のリーダー犬」とその飼い主の姿を、驚くほど誠実に描き出しています。
本作が他の犬映画と決定的に異なるのは、主役のトーゴーがこの冒険に挑む際、すでに12歳という高齢であったという点です。犬の12歳は、人間で言えばもう引退して余生を過ごすべき年齢です。
ウィレム・デフォー演じるセッパラは、愛する犬を死なせたくないという「愛情」と、彼にしかこの窮地は救えないという「信頼」の間で激しく葛藤します。この「行かせたくないが、お前でなければならない」という究極の選択が、全編を通して物語に重厚な緊張感を与えています。
物語は過酷な雪原の走行シーンだけでなく、幼い頃のトーゴーとセッパラの出会いに何度も立ち返ります。
最初は「言うことを聞かない、小柄で体も弱い欠陥犬」だと思われていたトーゴーが、いかにしてセッパラの心を動かし、群れのリーダーへと登り詰めたのか。そのプロセスが非常にユーモラスかつ感動的に描かれています。
この過去の積み重ねがあるからこそ、現在進行形で行われる命懸けの旅路において、彼らが「なぜそこまでして走り続けられるのか」という理由が、観る者の胸に深く突き刺さるのです。
崩れゆく氷の上を疾走するシーンや、視界を奪うほどのホワイトアウトの中での走行は、CGを巧みに使いながらも、実写のような生々しさと恐怖を感じさせます。音響演出も素晴らしく、氷の割れる鋭い音や風の咆哮が、彼らの置かれた状況の絶望さを際立たせます。しかし、その真っ白な地獄の中で、トーゴーの強い瞳と、必死に前をかく足跡だけが希望の光のように見えるのです。
「英雄とは、誰が最も注目を浴びたかではなく、誰が最も困難な役割を全うしたかによって決まる」というメッセージが、押し付けがましくなく伝わってきます。
犬という生き物が持つ無私無欲の献身と、それに応えようとする人間の誠実さ。その極限の姿を、アラスカの美しい、しかし冷酷な大自然の中に刻み込んだ、まさに「語り継がれるべき」一本だと言えるでしょう。

4.5
出典:映画.com

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