【国家非常事態　首都爆破テロを阻止せよ】アクション映画

マレーシア 2023年
監督：クロール・アズリー/フランク・シー
主演：エイディ・アシュラフ   ファラリ・ハーン   アドリン・アマン・ラムリー   ダイヤン・トリシャ   チー・ラザリ

マレーシア警察の無鉄砲な刑事カリードと、女刑事アニスのコンビは、首都クアラルンプール内での爆破テロ計画を知り捜査に乗り出す。テロ組織のアジトを突き止め、突入し組織の幹部ランを逮捕するも、警察組織内部の情報が流れていたことに愕然とする。爆弾を積んだ白いバンが首都圏内に3台放たれたという情報を傍受したカリードたちだが、その1台に元妻と娘が人質となっていることを知り・・・。国際テロ対策本部からの依頼で首謀者ランを移送中に、首都圏で次々と爆弾が起爆、大都市がパニックに陥る中、愛する者を救うため、カリードたちは手ごわいテロリストたちに戦いを挑んでいく。

この映画は、私たちがあまり触れる機会のないマレーシアという国が生み出した、熱量の高いアクション大作です。ハリウッドや他のアジア大国の作品とは一線を画す、その独自のエネルギーこそが、この作品の最大の魅力と言えるでしょう。
マレーシア警察の全面協力のもと撮影されたとされるアクションシーンは、演出の派手さだけでなく、銃器や特殊部隊の描写に確かなリアリティを感じさせます。銃撃戦、市街地での攻防、爆破の連鎖…これらが一息つく間もなく展開されることで、観客は常に高い緊張感に置かれます。
首都での大規模テロを阻止するというミッションは、文字通り「時間との闘い」です。刻一刻と迫る危機の中で、警察側がどのように情報を集め、どのようにテロリストの裏をかこうとするのか、その緊迫したプロセスが観客を引き込みます。特に、街中がパニックに陥る状況下での攻防は、その焦燥感がスクリーン越しに伝わってくるようです。
単なるアクション映画に終わらせない深みが、主人公たちの描写にあります。
主人公となる刑事カリードは、非常に人間臭いキャラクターとして描かれます。彼は優秀な警察官でありながら、任務の遂行と、愛する者たちを守りたいという個人的な感情との間で激しく揺れ動きます。その無鉄砲なまでの行動が、事態を好転させる起爆剤となるか、あるいはさらなる危機を招くのか、予測不能なドラマを生み出します。
主人公とコンビを組む女刑事アニスとの関係性も、物語の重要な軸です。対照的な二人が互いを補い合いながら巨悪に立ち向かう構図は王道ながらも胸を熱くさせます。また、テロ組織の影が警察内部にも及んでいるという「裏切り」の要素が加わることで、サスペンスとしての魅力も増し、誰を信じていいのか分からない疑心暗鬼の雰囲気も緊迫感を高めます。