【こいつで、今夜もイート・イット アル・ヤンコビック物語】音楽・伝記映画

ミュージカル・音楽映画
像画出典:Prime video
出典:Prime video

【こいつで、今夜もイート・イット アル・ヤンコビック物語】

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アメリカ 2022年
監督:エリック・アッペル
主演:ダニエル・ラドクリフ   エヴァン・レイチェル・ウッド   ジュリアンヌ・ニコルソン   レイン・ウィルソン   ジェームズ・プレストン・ロジャース

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ドクター・ディメントのラジオ番組が大好きな少年アルの趣味は替え歌作り。母親がセールスマンから買ったアコーディオンを与えられたアルはその演奏に夢中になり、ミュージシャンになろうと決心。高校卒業後、親元を離れたアルはバンド仲間を見つけられず、ソロ活動をせざるを得ないが、ザ・ナックの「マイ・シャローナ」の替え歌「マイ・ボロニア(ボローニャ)」がラジオで大ウケしたことを機に、彼はプロ歌手の道を歩み始める。

『こいつで、今夜もイート・イット~アル・ヤンコビック物語~』予告編
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​この作品は、単なる「有名人の一生を描いた映画」だと思って観ると、開始数分で良い意味で脳を殴られるような衝撃を受けることになります。
アル・ヤンコビックというアーティストは、既存のヒット曲を面白おかしく替え歌にする「パロディ音楽」の第一人者です。そんな彼が自分の半生を映画化するにあたって選んだ手法は、「伝記映画というジャンルそのものをパロディにする」という、極めてメタ的で知的な悪ふざけでした。
通常、伝記映画は「事実に即していること」が誠実さとされますが、本作はその真逆を行きます。「事実はこうだった」ではなく、「ロックスターの伝記映画なら、こういう劇的な展開があるべきだよね」というベタな演出を、あえてアルの人生に強引に当てはめていく。 その結果、現実のアルの穏やかなイメージとはかけ離れた、バイオレンスでスキャンダラスな「嘘の物語」が爆誕しています。この突き抜けた不誠実さこそが、アーティストとしてのアルの最高に誠実な表現になっているのです。
主演のダニエル・ラドクリフの演技は、本作の最大の勝因です。彼はこの荒唐無稽な脚本に対し、一瞬たりとも「これはギャグですよ」という目配せを観客に送りません。
彼は、アコーディオンを武器に世界を支配しようとする野心的な男を、まるでシェイクスピア劇の悲劇の主人公かのような熱量で演じています。「状況が狂えば狂うほど、役者は真剣に演じるべきだ」というコメディの鉄則を完璧に遂行しており、その真剣な眼差しと、繰り出されるデタラメなエピソードとのギャップに、観客は笑いを堪えることができなくなります。
本作の根底には、「変人であれ」という強烈なメッセージが流れています。
幼少期に「替え歌なんて作ってないで、真っ当な仕事に就け」と親から抑圧されるシーン(これも極端にドラマチックに描かれますが)は、個性を押し殺して生きる現代人への風刺のようにも見えます。

4.0
出典:Prime video

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